<半導体レーザーを買う前に...>なぜ半導体レーザーでアクリル板を加工できないのか?

レーザー加工

こんにちは,GW暇すぎて萎えているかわきょうです.

我が家では愛用している半導体レーザーくんですが,とても優秀で1万円もしないレーザーでも加工ができちゃいます.

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半導体レーザーはCO2レーザーやヘリウムネオンレーザー,YAGレーザーなんかと比較しても小型で高出力で手軽で入手できます.しかし,どんな材料でも加工できるというわけではございません.

半導体レーザーで加工できる材料
  • MDFやベニヤ板などの木製板材
  • 紙,段ポール
  • ステンレス
半導体レーザーで加工できない材料
  • アルミや銅,貴金属を含む多くの金属
  • アクリル

他にも世の中にはたくさん材料はあります.列挙するとキリがありません.

では,加工できる材料と加工できない材料の違いは何でしょうか?

答えは簡単.材料には吸収しやすい光と吸収しにくい光があるからです.すべての材料(物質)には光を反射したり,吸収したり,透過しています.この性質を理解することがミソです.

レーザー加工では光エネルギーをピンポイントに集中して照射することで,光エネルギーを吸収した材料の温度は上昇し,やがて融解や蒸発をします.しかし,材料の光エネルギーの吸収率に波長依存性があります.例えばマイクロ波では加工ができるのに赤外線では加工がなかなかできないということが多々あります.

パンを焼くのは電子レンジ?オーブン? 答えは波長にあり!

もちろんオーブンですよね?ですが,実はどちらも光を使って温めるという機械であることに変わりはないのです.この二つの機械の違いはまさに用いる光の波長にあります.

電子レンジはマイクロ波(波長12cm),オーブンは赤外線(波長1μm程度)を用いています.電子レンジは水の吸収率が最も高い波長を用いているため,水分を多く含んだ食品を温めることに適しています一方で,オーブンはどのような食材でも吸収されやすい赤外線を用いているため,乾燥しているパンを焼くときに用いられるわけですね

さらに材料に対して光がどの角度で入射するかによって反射率や吸収率は変わります.これ以上の話はかなり複雑になってくるのでここでは述べません.

さあ,具体的に考えましょう!

どこのご家庭にもある半導体レーザー↓

405 nmの波長を持つ半導体レーザーですね.私が使っているのも同じくらいの波長です.

アクリルの透過スペクトルはこんな感じ↓

アクリル(スミペックス)の紫外・可視・近赤外線吸収スペクトル https://www.sumitomo-chem.co.jp/acryl/03tech/b1_kougaku.html

405 nmのレーザーであれば,90%以上透過してしまうことが分かると思います.すなわち,吸収される光は10%にも満たず加工には不適であるといえますね.一方で,仮に300 nmの紫外線レーザーや2300 nmの赤外線レーザーがあれば,加工ができそうなのはお気づきですよね!

紫外線レーザーは高価で出回りにくいのですが,赤外線レーザーは入手しやすくCO2レーザー(波長10.6 μm)もその一種です.

色んなレーザーがありますが,加工材料に合わして適切なレーザーを選ぶ必要があるということをわかって頂けたかと思います.

半導体,CO2,ヘリウムネオンなどなど,,,なぜ光源の材質によって波長が変わるのかというお話はまた今度(‘ω’)

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