[mathjax]
お久しぶりです.先週末までITパスポートから基本情報技術者,応用情報技術者までずっと試験続きでした(笑)
周りに資格を一杯とっている人がいたので,感化されて一気に3つ申し込みましたが,直前まであまり勉強できませんでした.
結果,かなり苦戦してしまい,応用情報技術者はたぶん落ちたと思います(;’∀’)
悔しいので次回はちゃんと勉強して挑みます(笑)
そんな私ですが,研究活動もサボっていたわけではございません.
この夏はひたすらに分光器の使い方を勉強してました!!!!!
いや,それ研究ちゃうやん!!!!ってツッコんだ方,すばらしいツッコミですね.
突っ込めなかった方はまだまだです.
ツッコミの研究しましょう.
でも,測定器を正しく使うのって本当に難しいのです.
知識がなくても測定器を使って,測定すればなにかしら結果はでます.
しかし,それを見て本当に正しいデータなのか判断する必要があるのです.
私はいつも教授らに以下のようにツッコまれます.
いや,そのデータほんまに信用していいの??
なんて言われますから,データが信用できる根拠を示さなければなりません.
この2か月間,ずっと分光器を正しく使えず頭を抱えていました.
分光器の使い方についてあまりにも無知だったのです.
まずは,一緒に分光器の仕組みから勉強しましょう.
分光器とは
私たちは研究で分光器を使っております.
分光器は光のスペクトル(光にどんな波長がどれだけあるか)を調べる装置です.
私は白色光源のスペクトルを調査するよう教授に指示されました.
光を分光器に入れるだけなんで簡単ですね.はい!!!
このデータから光源から放出される光は可視光域(550 – 800 nm)のすべてを含んでいて,750 nmくらいに小さなピークがあることがわかります.赤外はもっと大きいですね.
しかし,このデータを教授にもっていくとこのように言われます.
350から550 nmで発生しているオフセットはなんなん?
これは光源のスペクトルではないよね?
*オフセットとは基準となる位置からのズレ
なんだこれ!!!!!
正体は暗電流でした.こいつが曲者なのです.
熱補正とは?
受光素子(センサ)はフォトダイオードがよく用いられます.光がフォトダイオードに入射すると,電流が流れます.
光エネルギーに比例して,フォトダイオードから電流が流れてきてくれれば問題ないのですが,暗電流という邪魔者がいます.
暗電流は拡散電流,表面リーク電流が支配的とされています.
拡散電流は絶対温度に比例し,電場には依存しないという関係があります.
これはアインシュタインの関係式
$$ D = \mu k T/q $$
で与えられます.ここで,Dは拡散係数,μ は電気移動度,kはボルツマン定数,Tは絶対温度,qは電荷を表します.
まとめると,温度によって拡散電流の値が増えたり,減ったりしてしまいます.
これを補正する必要があるので,一般にダーク補正をかけます.
ダーク補正 1.データ取得前に光を遮り,暗電流の値を読み取って補正値を取得する. 2.次に,測定値から補正値を引くことで正しい計測結果を出力します.
表面リーク電流も同時に補正できます.
よし,これで補正がわかったから正しい結果が出せるわ,,,
光源の電源がオフの状態で暗電流の値を計測して,どん!!!!!
↑補正なし
↑補正あり
いや,変わらん!!!!!両方ともオフセットが残ってる😿
はい,この方法では問題がありました.
測定中に温度,つまり暗電流が変化した場合に対応できないのです.
暗電流の大きさは光源の電源がOFFのときとONのときで異なってしまうのです.
フォトダイオードの熱容量は小さいので外から入ってくる光エネルギーに敏感に反応します.
特に赤外成分が分子の振動(温度)に影響を与えます.
温度や暗電流を追跡できる機能があれば,以下のように対応は可能です.
調べたところ,分光器には温度補正機能がついているようです.
フォトダイオードの暗電流の大きさと温度の関係がわかれば,補正は簡単ですね!!!!!
理想的にはこんな感じです.
しかし,これにも問題があるのです.
測定毎に,温度に対応した補正値を引きますが,フィードバックに時間がかかり,その間に温度変化があれば誤差になります.
また測定誤差によりノイズも発生します.これによりノイズは増幅されてしまいます.
そこで,補正値は測定した温度の時間平均を取り,フィードバックします.
これが最終的な熱補正になります.
今まで使っていた図でいうと,このような感じです.
実際の暗電流と補正する暗電流の差は確かに理論と一致していることが確かめられました.
実際の暗電流と補正する暗電流の差の時間変化↓(光源をオンにした時に立ち上がり,光源をオフにしたときに下がっている)
これにより,光源をONにしても十分に時間が経てばオフセットがなくなり,スペクトルを計測してもよいことがわかりました!
どん!!!!
(諸事情で光源は変わりましたが,ちゃんとオフセットが除去できていることを確認しました)
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